
新型ジムニーは3つあるグレードのすべてにAT車とMT車が用意されています。
取得している免許の兼ね合いもありますが、ジムニーのAT車とMT車、どう違って、どっちがいいのか見ていくことにしましょう。
目次
新型ジムニーのAT車ってどんなもの?普通の軽自動車とは違うの?
上でも書きましたが、まず免許の兼ね合いでAT車限定免許を持っている人は、たとえジムニーのMT車が優れていると感じたとしても、選べるのはAT車一択になります。
ちなみに、国産車の多くでミッションはATになっていますが、厳密に言うと軽自動車やコンパクトカーのミッションは「AT」ではなく、「CVT」になります。
スズキの軽自動車の中でいわゆる「AT車」とされている車のうち、CVTではなくATが搭載されているのは、ジムニーと半分商用車のエブリイワゴンだけです。

出典:https://bestcarweb.jp/news/42641
写真のようにCVTとは無段変速機あるいは連続可変トランスミッションというもので、歯車以外の機構を使って変速比を変化させるトランスミッションのことです。
身近なところではスクーターのトランスミッションはCVTが使われていますが、それを自動車用に改良したものが現在使われているわけです。
特にいわゆるAT車に比べて燃費の点で有利なことが多く、それもあって小型車や軽自動車に広く採用され、カタログスペックながらもリッター30kmのような低燃費を実現することができるのです。

出典:http://creative311.com/?p=39446
これに対してATはオートマティックトランスミッション(自動変速機)で、車速やエンジンの回転数に合わせて変速比を自動で切り替えるトランスミッションです。
そもそも、MT車のクラッチペダルを取り去るのが目的で開発されたため、必然的にクラッチの切り替えが自動で行われるようになっています。
クラッチを自動的に切り替える仕組みとしていろいろあるのですが、主流なのはトルクコンバーターを積んだもので、エンジンの動力をこのトルクコンバーターを介してトランスミッションに伝える仕組みになっています。
このトルクコンバーターはトルクを増幅させる機能があるので、MT車なら6速を使うところでもATなら3速でカバーすることができます。
その代わり、トルクコンバーターが作動するときはエンジンの回転数が落ちるので、アクセルを踏んでもエンジンは回るものの加速しないという現象が起きます。
このせいで運転のフィーリングも悪くなりますが、燃費も格段に落ちてしまうのです。
これを防ぐためにロックアップ機能というものがあり、ダイレクトにエンジンの力をトランスミッションへ伝えることができます。
トルクは増幅されませんが、エンジンフィーリングは運転者にダイレクトに伝わるので、運転を楽しむという意味でも燃費面でも効果が高いものです。
先代のジムニーまでは、このトルクコンバーターのロックアップ機能がなかったので、燃費も走りも今ひとつなところがあったのですが、新型ジムニーではエンジンが変わったこともあって、ATにロックアップ機能が搭載され、ATなりに運転が楽しめるようになりました。
新型ジムニーのAT車はオンロードではMT車と遜色ない走りをすることができ、高速でも劣らないと言われていますが、一方で急坂の峠道などの場合、MT車にたちまち置いていかれてしまいます。
AT車と言えど、シフトレバーを操作してギアダウンしないと、他車の流れについていくことも難しそうです。
ジムニーがCVTではなく敢えて燃費に不利なATを積んでいるのは、坂路やオフロードで無段変速してしまうと、パワー不足を引き起こしかねない可能性がある故にATを採用していると考えられます。
ATでは普通Dレンジに入れっぱなしで走るのが普通だと思いがちですが、オフローダーのジムニーでは2速とローレンジも駆使して走る必要があるわけです。
新型ジムニーのMT車ってどんなもの?敢えてMTがある理由は?
一方、ジムニーには最近の軽自動車では珍しくMT車が全グレードに設定されています。
スズキの軽自動車の中では、走りに振りきったアルトターボRSとアルトワークス、方向性は違いますが同じSUVのハスラーに設定があります。
アルトの2車種については、スズキ独自のペダルレスオートクラッチを搭載したモデルもあります。
これはシフトレバーを動かすだけでペダル操作なしに変速していくというATとMTの合いの子のような機構で、最近では輸入車でもよく見かける仕組みです。
この場合はクラッチがあってもペダルがなく、クラッチをつなぐ操作をしないのでAT限定免許でも乗ることができます。
しかし、ジムニーは純然たるMT車なのでAT限定免許の人は乗れません。
出典:https://motor-fan.jp/tech/10004755
先代のジムニーはエンジン設計が古かったこともあって、エンジンを高回転させることでトルクを得て走る車になっていましたが、新型ジムニーはエンジンが変わり、3500回転でトルクのピークが出るようになっています。
ですので、1速に入れてある程度引っ張って回してからギアチェンジする必要がないので、乗りやすさは格段に上がっています。
これはオフロードで高速走行することはなく、むしろ低回転でトルクを重視する方がオフロードの走破性能が上がると考えての変更だと考えられます。
5速マニュアルでギア比などは公式サイトの主要諸元表で確認することができますが、細かい話になるのでここでは触れません。
オンロードを走る分には特に問題なく、高速も含めてスムーズな走りを楽しめます。
また、急坂の峠道などでも低回転でトルクのある仕様なので、あまり細かいギアチェンジをしなくても難なく登っていきます。
ダートなどを走る際に、2速と3速のギア比が離れているのが気になるという意見があります。
2速ではギアが低すぎるし、3速ではギアが高すぎるというものです。
ジムニーもオフロード車ではありますが、オンロードを走る機会の方が圧倒的に多いわけで、その辺の細かいオフロードでの走りは犠牲にしたところがあると考えられます。
また、ジムニーは5速の変速比が1.000でギアを介さずにドライブシャフトと直結している状態になっています。
これを直結ギアと言いますが、1.000よりギア比を下げて、高速走行時にエンジンの回転数を上げないためにオーバードライブという機構が付いている車種がほとんどです。
ジムニーの場合は最高速ギアの5速で直結ギアになっているので、オーバードライブは付いていません。
これは何を意味しているかと言うと、高速走行を重視していないということです。
出典:https://motor-fan.jp/article/10005004
オフローダーなので当たり前と言えば当たり前ですが、低速トルク重視とオーバードライブなしという仕様は、いかにオフロードを走破しやすくするかに重点が置かれているということに他なりません。
まとめ 新型ジムニー、AT車とMT車どっちを選ぶ?どっちがいいの?
余談もだいぶ多くなってしまいましたが、ここまで新型ジムニーのAT車とMT車について見てきました。
では、どちらを選ぶべきかという話を最後にしておきましょう。
何度も言っていますが、AT限定免許を取得した人はAT車一択です。
自動クラッチ式の半マニュアル車が設定されていないので、これは仕方ありません。

出典:http://www.suzuki.co.jp/car/jimny/interior/
マニュアル免許を持っている人は選択肢となるわけです。
燃費から考えるとMT車でリッター16.2km、AT車で13.2kmと3kmほど差があります。
AT車に乗ると「もう少し走ってくれればなぁ」と思う程度には差を感じるはずです。
あとは用途の問題です。

出典: http://www.suzuki.co.jp/car/jimny/styling/
普段使いのオンロードがメインで、たまに峠を越えたりオフロードを走りに行く、くらいの乗り方であればAT車の方が乗っていて楽かも知れません。
逆に普段は別の車に乗っていて、坂路やオフロードは趣味で走りに行くという徹底したオフローダーであればMT車がおすすめです。
また、MT車じゃないと運転した気にならないという人もいます。
そういった人たちにもMT車が向いているでしょう。